タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔 [☆☆☆☆]
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最近、平磐は青い手袋姿の撲殺魔(実は殺してないけど)で話題騒然。って、最新の犠牲者は僕なのか!?三助は隣家に引越してきた少女夏月に誘われた公園で、噂の怪人に殴られる。その正体は…夏月!?彼女は自分の幽体から武器を生みだせる異能者タマラセで、市内に急増するタマラセの力に目覚める者を止めるためやってきたのだ。可愛い怪力娘に頼られた三助は奇妙な能力者との戦いに突入する!第9回スニーカー大賞優秀賞受賞作。
一迅社文庫全レビューUstにて同作者の『ペンギン・サマー』をレビューした際に、KUSFAの方々が揃いも揃ってプッシュしていたので読んでみることに。さすがは優秀賞ということか、文章が軽快で読みやすく且つ魅せてくれる。しかも爽快、さらに話を壮大にしていくフラグもきちんと設置してのけているという見事さ。ここまでの技巧派な作者だったとは。『ペンギン・サマー』でこの技巧を見せてくれていたらなあと思わざるを得ない。
この本の内容について触れると、これは"タマラセ"という、ジョジョにおけるスタンド能力のような特殊能力を持つ人間たちのドタバタ冒険学園ラブコメものである。とにかくヒロインの夏月が可愛い、そして強い。その辺りは挿絵がうまく機能している印象を受けた。だが挿絵にも増して見事なのはやはりこの筆力であろう。地の文を読んでいるだけでここまでワクワクしたのも久しぶりである。
一巻ということでまだまだストーリー全体としては小ぢんまりとしているように感じられたが、後書きでも述べられていたように次巻からどんどん話が進んでいくようなので非常に楽しみである。さらにKUSFAの先輩曰くもっとバトル展開が楽しくなるそうなのでそこも強く期待しておきたい。
これは学園異能バトルものが好きな人みんなにお薦めしたい素晴らしい作品だった。