スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

その日彼は死なずにすむか? [☆☆☆☆]

その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)その日彼は死なずにすむか? (ガガガ文庫)
植田 亮

小学館 2009-06-18
売り上げランキング : 1391
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


僕は死んだ。何もいいことがない、17年の人生だった。……でもマキエルと名乗るいきものが言うには、もういちど10歳からやり直し“奇跡の欠片”をあつめれば次は死なずにすむらしい。北欧から転校してきた明るいソフィア、絵がうまいとも実、甘えさせてくれる隣のお姉さん弥宵――奇跡の欠片がなんなのかマキエルは教えてくれなかったけど、僕はまえはぜんぜんできなかった、身近な女の子たちとのふれあいをたいせつに生きよう、こんどは悔いを残さないために、と思った。だけど……。第3回ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作。




 第3回ライトノベル大賞ガガガ賞受賞作と聞いて(ガラッ
 タイトルとあらすじから判断して暗い話なのかなと考えていたが、読んでみると案外そんなことはなく、今この時間を大切に生きようとか、身近な人とのふれあいを大切にしようとか、そういうことを考えさせるタイプの作品だった。普通にいい話だったので少々吃驚。
 第3回ガガガ賞になってえらく普通の路線になってしまったガガガ文庫の明日はどっちだ。

 17歳で死んでしまった主人公の鋼一。そんな彼の元にやってきた妖精のような存在のマキエル。マキエルは鋼一をもう一度10歳から人生をやり直させる「ゲーム」の話を持ちかけ、鋼一は人生に悔いが無いように生きたいという思いのもとそれを受理する。
 この「ゲーム」という単語を見たとき、土橋先生の作品みたいにゲームっぽさを前面に押し出した作品になるのか、絵師も植田亮さんだし、と勘ぐったりもしたが別にそんなことはなかった。安易にゲームという道に走らなかった点は好印象。

 マキエルは、鋼一に人生を10歳からやり直させるときに、
 「必ず同じ死因が訪れるがそれに背いてはならない」
 「それまで悔いの無い人生を送ると良い」
 「“奇跡の欠片”を集めきれば次は助かる」 (ただしそれが何かは教えない)
ということを話す。鋼一は、蘇る前の人生では、ネガティブな性格で友人もガールフレンドもろくにいなかった(まさにぼっち)が、マキエルの話を聞いて勇気を出してクラスメイトのソフィアを助けたところから人生が変わり始め、友人の不幸を回避させようとしたり、過去を改変したことで新たに不幸となった人を助けようと一生懸命になったりする。そんな鋼一の様子が好印象だった。

 ラブストーリーとしても白眉。中でも鋼一とソフィアとの各シーンは特にお気に入り。
 いかにも小学生らしく自身の感情をそのままストレートに出してくるソフィア、そしてそんな彼女に振り回される鋼一、そして少しずつ距離を縮めていく二人の姿に終始ニヤニヤが止まらない。
 同時に、そんなソフィアの姿に感化されて少しずつ前向きになっていく鋼一の姿は、読んでいるほうも嬉しくなるほど。著者の技量を感じた。

 歴史改変という言い方をすればSFっぽく聞こえるが、実際は全くそんな雰囲気はなく、少年の精神の成長に主眼を置いたややシリアスな作品となっている。
 やや話の重たい綺麗に完結しているラブコメ、といえばより正確だと個人的には思う。今回のガガガ賞のなかで一番好きな作品になるかもしれない。それくらい好き。

コメントの投稿

非公開コメント

FC2カウンター
プロフィール

ISOLA(空)

Author:ISOLA(空)
京都の某大学に通う理学部2回生。SF・幻想文学研の片隅にひっそりと属する、岸田教団の狂信者。Twitter上では地雷ラノベを嗜む人として周りから「やべえ」と言われる狂気じみた日々を過ごしている。減らない積読を見ながら毎日読書に励んでいるが、古本極道になってしまったせいでむしろ積読が増えるようになった、そんな無計画読書ライフを楽しむ廃人。

この『とある奇人の読書目録』では、主として
・日常の雑記
・ラノベ
・SF・幻想文学
・東方
を話題として取り扱っております(多分)。

リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
空のTwitter
謎めいた読書メーター
空の最近読んだ本
検索フォーム
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。