スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

イスノキオーバーロード [☆☆☆☆☆]

イスノキオーバーロード (一迅社文庫)イスノキオーバーロード (一迅社文庫)
貴島 吉志

一迅社 2009-05-20
売り上げランキング : 14533

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


 双子の妹であるメイド・ユスハと共に、サングリア商王国の幼き姫・ヴェセルに仕えることとなった剣士・スティロス。わがままにも思える態度に振り回されながらも、王国に迫る不穏な影との戦いの中で、ヴェセルと心を通わせてゆく。そのような日々の中で、王国、そしてヴェセルに隠された「イスノキの儀」なる秘密が明かされてゆき……。
 姫とメイドたちに彩られたファンタジー、ここに登場です。




 作者の貴島吉志さん(Twitterアカウント @kissc)はゲームシナリオやメイド同人で名を馳せた人だそうである。その事実を、卓越したメイド描写や中世ヨーロッパを彷彿とさせる緻密な世界観描写が如実に表している。丁寧な描写でありながらもしつこさを感じさせないあたりは見事としか言いようがない。

 この作品を語る上で外せないのはやはりメイドの存在である。だがそれと同じくらい、いやむしろそれ以上に重要になってくるのが、メイドの奉仕対象たるロリヒロイン(ここ重要)のヴェセル姫である。
 この作品はヴェセルを中心とした物語であると結論づけて間違いはないだろう。その周りを主人公たるスティロスと、数多のメイド、そしてその他のキャラクターが動き回っている構図とでも言えばいいか。
 ヴェセルの独特の台詞回しも可愛らしさを演出していてたまらないものがある。「ヴァー!」が印象的すぎて困るくらいである。
 ヴェセルと「イスノキ」との関係性もいい。詳しくはネタバレになるのでここで書くのは控えておくが、一巻でそれなりに盛り上げつつ、続刊を期待させる見事なまでにバランスの取れた設定であった。
 あと取り上げるべきはオーバーロードのダブルミーニングであろうか。OverloadとOver Lordを掛けていると考えてもそこまで穿ち過ぎではあるまい。

 一つこの作品に問題点を挙げるとするなら、戦闘(戦争?)時の双方の戦闘人員数であろうか。主要舞台であるラセモスムは、読んだ限りではかなり重要な拠点であるようだが、そこを巡っての戦闘人員が双方合わせて百いくかどうかというのは少々疑問符が。この世界の人口が相当数少ないというのなら納得もいくのだが……。三国志とか水滸伝が好きなせいでインフレを起こしているのかもしれないが、それにしてもこの数は少なすぎやしないか。
 ……まあ、そんなことはこの作品の素晴らしさを考えれば些事であるが。

 後書き曰くレーベルの対象レンジを広めたかったようであるが、それならもっと帯で頑張るべきだったと思う。もっとキャッチーな台詞とか書いててもよかったはず。銀世界での「さあ蟹だ!」と同じくらいの失敗臭がする。多分ロリコンを釣るようなネタを帯に仕込んでおけばよかったのではないか。

 あっさりとした読り口でありながらも最上級の読後感を味わえた。語りの緩急といい展開の緩急といい、どこをとっても見事なまでに噛み合っていた素晴らしい作品であった。続刊も出せそうな雰囲気を醸し出しているので、続きが強く期待される。
 こういう“強い意思”の話が好きな身としては、この作品をマイ一迅社文庫ベストの暫定三位(一位AngelDive、二位ぶよぶよカルテット)に入れておきたい。それくらい大好き。ちなみにドラマチックドラマーは皇帝なので除外しています。
 それだけに校正が相変わらず仕事をしていなかったのが残念でならない。頑張れ一迅社文庫Ver2.0! KUSFAは一迅社文庫を生温かく応援しています。

かくて……

コメントの投稿

非公開コメント

FC2カウンター
プロフィール

ISOLA(空)

Author:ISOLA(空)
京都の某大学に通う理学部2回生。SF・幻想文学研の片隅にひっそりと属する、岸田教団の狂信者。Twitter上では地雷ラノベを嗜む人として周りから「やべえ」と言われる狂気じみた日々を過ごしている。減らない積読を見ながら毎日読書に励んでいるが、古本極道になってしまったせいでむしろ積読が増えるようになった、そんな無計画読書ライフを楽しむ廃人。

この『とある奇人の読書目録』では、主として
・日常の雑記
・ラノベ
・SF・幻想文学
・東方
を話題として取り扱っております(多分)。

リンク
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
空のTwitter
謎めいた読書メーター
空の最近読んだ本
検索フォーム
RSSリンクの表示
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。