ストップ☆まりかちゃん! [☆☆☆]
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「うわあ~、また変な生き物作ったの!?」「うん、星ちゃんが喜ぶと思って」御堂鞠歌16歳、政府公認の生物工学の天才児。訳あって彼女と同居することになったけど、おかげでぼくの平和な生活はめちゃくちゃに…。憧れのあの子には誤解されるし、奇妙な生物には毎日のように襲われるし、こんな生活…もういやだああああああっ!全4編収録。カラーコミック&おまけコミック付き。ちょっとシュールなバイオロジカル・学園コメディ。
自分も含め、KUSFA内で大人気の「タイム・スコップ!」の作者の前作であるということでふなさんが入手していたので借りてみることに。念のためにタイムスコップの情報を貼っておく。
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表紙や挿絵は非常に可愛らしいが、どうやらそれは唯の光学迷彩だったようである。蓋をあけてみると、そこに待ちかまえていたのはまさかのバイオホラーだった。
幾度となく分断されていく少女型ヒトデ(軟体動物)、体に裂け目が割れてそこから細い触手(管足)がうじゃうじゃと発生、そして実はそこに細かい卵が入っててそれをいい笑顔で食べる鞠歌、とびっきりの笑顔でそれを食べられているのを見ている少女型ヒトデ。 ……これをホラーと言わずして何というべきか。
あらすじでは「コメディ」と明記されているが、思わず『おいィ?』と突っ込みを返さざるを得ない。確かにキャラの台詞回しなど、そういう点ではコメディと言えるかもしれないが、実質やっていることは見紛うことなきホラーである。しかもそれを4短編のうちの最初に一気にかましているのが、もう凄いというか、凄いとしか言えないというか。
ちなみに2章ではおっさんが大挙して押し寄せてくるという、さらなる狂気を孕んだホラーが展開される。怖いっつの。
文章も、確かに勢い自体は見てとれるが、タイムスコップと比較してまだ垢ぬけきれていない印象がある。初作故に致し方ないのかもしれないが、所々で違和感が見てとれる。勢いだけはあるのでそこは評価しておきたいところである。
3章だけ取り出して考えてみると、割とタイムスコップに近いような気がする。むしろここだけ読めばいいのでは、そう思っても仕方ないかもしれない。
自分はそこまで苦手ではなかったが、かなり人を選ぶ作品であったことは否めないだろう。ヒトデやフナムシなどの生物学的な描写や、ホラーが苦手な人は読まないほうが賢明である。表紙にホイホイされないよう。